糖質制限と筋トレは両立できない?減量中に筋肥大しにくい理由を解説

効果的なダイエットとして知られる糖質制限。

ただ痩せるのではなく健康目的や目指すスタイルを作るため、糖質制限中に筋トレを始める方もいるでしょう。

しかし、なぜか筋肉がつきにくいと感じていませんか?

結論から言えば「糖質制限と筋肥大を目的にした筋トレ」の両立は難しいです。

例えば、痩せて筋肉のついた体を作るには、

  • 糖質制限で痩せる
  • 糖質制限が終わってから筋トレで鍛える

といった順番が効率的な方法であり、最初から筋肥大を目指すなら糖質制限はNGです。

この記事では、糖質制限で痩せる理由と筋肥大の仕方を詳しく解説していきます。

なぜ糖質制限中に筋肥大ができないのか?糖質制限中に筋トレは必要なのかについて、疑問が解決できれば幸いです。

減量と筋肥大は正反対なので両立は難しい

減量の基本はアンダーカロリー(摂取カロリー<消費カロリー)の状態を継続することです。

逆に、筋肥大をするためには必ずオーバーカロリー(消費カロリー<摂取カロリー)の状態にしなければいけません。

糖質制限中に筋肥大を目指そうとするのは「ダイエットしながら太る」ことを意味します。

つまり、体の仕組みとして全く正反対のことを両立させようとしているため、減量と筋肥大は同時に行うことができないのです。

糖質はなぜ太るのか?

糖質を摂ると、血糖値(血液中の糖分量)が上がり、それを下げるためインスリンが大量に分泌されます。

インスリンは血液中の糖分を素早くエネルギーに変える反面、余った分を脂肪に変えて溜め込む働きも持つことから「糖質の摂りすぎは太る」と言えるのです。

糖質制限が広まり始めた頃は「カロリーは気にしなく良い」という話もあり、このイメージを持たれている方もいるかもしれません。

しかし、糖質だけではなく脂質も余れば内臓脂肪や皮下脂肪に変わるため、糖質制限中もアンダーカロリーにしなければ痩せることは難しいでしょう。

筋肥大にはカロリーが必要

筋肉は運動の有無に関わらず、絶えず分解と合成(古い筋肉を分解してエネルギーに変換し、新しい筋肉に入れ替える)を繰り返しています。

分解と合成が拮抗することで筋肉量はキープされており、筋肥大するためには筋肉の合成を活発にしなければいけません。

エネルギー不足になるアンダーカロリーの状態では、エネルギーを作り出すために筋肉の元となるタンパク質が消費されてしまい、筋肉の分解が進みやすくなります。

また、材料不足(タンパク質の摂取が少ない、分解により足りなくなる)でも、筋肉が合成されにくくなります。

つまり、筋肥大させるには、タンパク質を「体重×1.2〜2g」の量しっかり摂りながら、1日に必要なカロリーに対して、200〜300カロリーの範囲で上回る食事が必要なのです。

糖質制限と筋トレは目的に合わせて行う

減量と筋肥大は同時に行えませんので、目的に合わせてどちらが必要か(どの順番で体づくりをするのか)を選択することが大切です。

標準体型の方を前提にした体型作りの一例をご紹介します。

細マッチョ(痩せて程よく筋肉をつけた体)

→糖質制限で減量して体脂肪を落とした後に、食事を戻して自重トレーニングで筋肉をつけていきます。

マッチョ(厚みのある筋肉をつけた体)

→減量せずに3食+補食で栄養をとりつつ、ジムで高負荷なトレーニングを行い筋肉を成長させる。ここから体脂肪を下げる必要がある場合は、筋肉量のキープに注意しながら糖質制限で減量を行います。

もちろん、極端な痩せ型、または肥満など一人ひとりのスタート状態と目的は異なるので順番も変わります。

糖質制限も筋トレも個人差はあれど、効果が表れるまでに3ヶ月程かかるため、スタート時の状態をもとに「増量か減量か?筋肥大なのか維持なのか」順番を考えてから行ってください。

糖質制限で体が痩せる仕組み

厳密な意味での糖質制限は「体のエネルギーの使い方を糖の消費から脂肪の消費に切り替える」ことで痩せる方法です。

体を動かすエネルギーは3大栄養素と呼ばれる「炭水化物(糖質)・タンパク質・脂質」から作られ、決まった順番で消費されます。

エネルギーを作り、使用される順番(代謝経路)

  1. 解糖系(材料:糖質)
  2. 糖新生(材料:タンパク質)
  3. ケトン回路(材料:脂肪)

体を動かすエネルギーとして①と②は「糖」を使い、③は「脂肪」を使います。

糖質制限は糖質を抑え①と②のエネルギー生産を減らすことで、はじめて③ケトン回路が働き始め、ケトン回路は脂肪を燃料にエネルギーを作り出すため、体脂肪を減らせるのです。

糖質制限について、より詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご確認ください。

【摂取量別】3つの糖質制限方法 

糖質制限は1日の糖質摂取量によって、3つに分けられます。

①ケトジェニックダイエット

ケトジェニックダイエットでは、1日の糖質摂取量を30g~60gに制限します

糖質を体からほぼ排除しケトン回路に代謝を切り替える、もっともハードで減量効果の高い糖質制限です。

特定の職種や医療目的で行われるケースが多いです。

②スタンダードな糖質制限

スタンダードな糖質制限では、1日の糖質摂取量を100g以下に制限します。

3食中1食のみ糖質を接種する標準的な方法で、体重減少が期待でき、太りにくい体を目指すことが可能です。

③ローカーボ

ローカーボでは、1日の糖質摂取量を130g以下に制限します。

健康維持を目的にした緩い糖質制限であり、夕飯は主食をとらない、または3度の主食を低糖質食品に置き換えるなど初心者向けの方法です。

最もハードな①ケトジェニックについては、高い減量効果というメリット以上に体調不良などのデメリットが上回る可能性があり、自己流で始めるのは危険を伴います。

そのため、医療期間や専門家の指導がない限り行わないようにしてください。

糖質制限で注意すべき2つのポイント

ここからは糖質制限に取り組む際の2つの注意点を紹介します。

①食事のバランス

「どれだけ糖質を制限するか」で炭水化物の摂取量は変わりますが、基本は「低糖質+中タンパク質+高脂質」のバランスになります。

ダイエットでは良く「高タンパク質」も提唱されおり、筋肉の材料であることから筋肉量の維持に必須ですが、エネルギーの生産の材料としてはとても非効率です。

そのため、エネルギー源として1日に必要なカロリーのうち60%ほどは脂質から摂るようにしてください。

カロリー制限ダイエットを経験されてる方ほど、高脂質と言われるとなかなかチャレンジしにくいかもしれませんが、糖質制限中に脂質は欠かせません。

糖質を抑えている状態で脂質も制限してしまうと、栄養失調になる可能性が上がります。

食事からたくさんの脂質を摂るのが難しい場合、消化吸収されやすく脂肪になりにくい中鎖脂肪酸(MCTオイル)を、ドリンクやサラダに追加するなどで適度に取り入れてみましょう。

②水分の摂取量

食事の他に見落としがちなポイントが「水分」です。

炭水化物は多くの水分を含んでいるため、摂取を控えることで自然と体内に入る水分量も減ってしまい、気がつかないうちに脱水状態になることがあります。

脱水は集中力の低下、だるさや立ちくらみなど多くの症状を引き起こすとともに、体脂肪が作られやすくなり、筋肉の分解も促されていくとされています。

たとえ自覚症状がなくても、糖質制限中は水やノンカフェインのお茶を最低でも2L以上は飲むよう意識してください。

筋トレで筋肉が増える仕組み

筋肉には傷つき(筋繊維が切れる)回復した時に「以前より筋肉を強くしよう」として筋繊維を太くする作用があり、これを繰り返すことで筋肥大してきます。

回復=筋肉を合成する材料としてタンパク質が多く必要であり、体に余分なエネルギーがないと作ることができません。

このことから、筋肉量を増やすには筋トレと「筋肉を作る栄養素を多めに取る(オーバーカロリーの状態にする)」ことが必要なのです。

筋肥大を目指すならエネルギー切れ起こさないためにPFC(3大栄養素)バランスをとった3食に加え、補食を取り入れると良いでしょう。

筋トレ前は消化されやすい糖質、筋トレ後にはタンパク質を多く含んだ食事と水分を摂ることで、筋肉の分解を抑えつつ回復を促せるので、効果的に筋肉を成長させることができます。

減量中にも筋トレは必要?

ここまでお読みいただいている方には繰り返しになりますが、筋肉量を維持するため糖質制限中にも筋トレは必要です。

加齢により筋肉は落ちやすくなりますが、若年でも「使われない筋肉は余分なもの」と体が判断し減少していきます。

もちろん、日常の活動に必須な筋肉量は残りますが、基礎代謝が下がるため糖質制限をしているのに痩せにくい体になることがあります。

筋肉は何もしない場合2〜4週間ほどで衰えを感じ始めるとされ、いきなり減るということはありません。

ですが、神経系(脳から出る指令により体を動かす)は1週間でも衰えると言われるため、筋力の維持とともにトレーニング感覚を失わないためにも、週2回ぐらいの頻度で筋トレを行うと良いでしょう。

糖質制限中に行う筋トレの注意点

糖質制限中の筋トレは、筋肉量をできるだけ維持することが目的のため、以下の点に注意して行ってください。

  • 自重トレーニングを無理のない回数こなす
  • 週1~2回の頻度で行う

糖質制限中に筋肉を成長させることはできず、目的にも合わないので高負荷なトレーニングは避ける方が無難です。

自重トレーニングを自身がこなせる回数、しっかり筋肉への刺激を感じながら行ってください。

腹筋や下半身、背中など、大きい筋肉を鍛えると筋肉量の維持に効果的です。

また、糖質不足の状態で筋トレをすることで体調不良を起こすケースがあります。

負荷が軽いので毎日できる方もいると思いますが、週に2回程度でも十分筋力は維持できるので、無理せず継続することを意識しましょう。

自重トレーニングに関しては、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。

体づくりにお悩みならパーソナルジムは試す価値あり

ここまで、糖質制限で痩せる仕組みと筋トレの必要性・筋肉の成長について、ご説明してきました。

糖質制限中の筋肥大は「ダイエットしながら太る」ことであり、両立の難しさが伝わったのではないでしょうか。

糖質制限や筋トレを行うのは、健康面を含め個人個人の理想の体づくりが目的かと思いますし、モチベーションが高いほど同時に行いたくなるのかもしれません。

しかし、目的を定めて順次取り組んでいかなければ、体はどっちつかずの状態になり何の効果もない状態で止まってしまいます。

特にハードな糖質制限ほど、間違うと健康を損ないかねないため、安易におすすめできません。

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