正しいスクワットは腰を痛めない!注意点と腰痛が起こる原因を解説

スクワットは、下半身を効果的に鍛える人気のトレーニングです。

自宅でも手軽に始められ、代謝や血流UPなど多くのメリットがある反面、自己流になりがちでフォームが崩れやすく腰痛を起こすリスクがあります。

腰痛のうち、明確な原因(ヘルニアや怪我など直接的な損傷ほか病気など)が判明しているのはわずか15%。

残り85%は身体的な異常は見当たらず、日常的な姿勢やストレスで慢性化したもの、トレーニングなど急に強い負荷がかかることで起こる一過性のものとされています。

そのため、スクワットを始めてから腰を痛めた状況であれば、体が前傾に倒れる・腰が反るなどフォームの崩れにより腰痛が起きた可能性があります。

また、逆にスクワットで「腰痛予防」ができると聞いたことはありませんか?

腰痛になるリスクと予防効果では一見全く逆に見えますが、どちらも正解と言えます。

これは、正しいフォームでスクワットすることで、トレーニング起因の腰痛は起こさず、下半身の筋力UPにより日常の腰痛リスクを下げることができるからです。

この記事ではスクワットによって腰痛になる原因や対処法などを解説していきます。

フォームが崩れる原因や改善方法もご紹介していくので、腰痛リスクを下げて安全にスクワットを行なっていきましょう。

スクワットで腰痛になる2つの原因

スクワットで腰痛になってしまう原因は正しいフォームができていないことで、反り腰・または猫背になり腰に強い負荷がかかるためです。

腰が反ると骨盤が開き体が前傾姿勢になりやすく、全身のバランスが取りにくくなるため、安定を保とうとして腰に負担がかかります。

また、猫背では常に首から腰にかけての筋肉が前に引っ張られ、筋肉の緊張が続くためだるさや痛みが発生してしまうのです。

スクワットの具体的な方法は「正しくスクワットを行う方法とポイント」で後述しますが、動きはとてもシンプル。

「姿勢を整えてしゃがむ」だけです。

ですが、姿勢の維持やしゃがむ動作は下半身だけでなく上半身の筋力や柔軟性も必要とします。

ここからは、フォームが崩れてしまう方に多い特徴をチェックして見ましょう。

体幹が弱い(お腹や背中の筋力不足)

大臀筋、大腿四頭筋やハムストリングスなど下半身を鍛えるスクワットですが、筋トレ時の姿勢を維持するためには強い体幹が重要です。

体幹は腹筋と思われがちですが、首から下、手をのぞいた胴体部分となるので腹筋と背筋をさします。

腹筋が弱いと骨盤が前傾し猫背になりやすく、逆に背筋が弱いと骨盤が後傾して反り腰になりやすくなるため、どちらの筋肉もバランスよく鍛えることがポイント。

お腹と背中が拮抗することで上半身がブレにくくなり、スクワットのフォームが無理なく安定しやすくなります。

足首・お尻・股関節が硬い

関節が硬い方は安定した姿勢を保って深くしゃがみこめず、下半身の筋肉を十分刺激することができません。

しゃがむ時に左右どちらかに体が傾いたりぐらつく方は、股関節の柔軟性が不足しており左右差もあると考えられます。

股関節からお尻の筋肉が非常に硬い場合は、深くしゃがむことは難しいでしょう。

また、足首の柔軟性が不足していると深くしゃがみ切った時に踵が浮いてしまい、体重をしっかり支えられず体が前に傾くため、やはりフォームが崩れやすくなるのです。

腰痛が起きたらまず休む!4つの対処法

どんなに注意してスクワットをしていても腰を痛めてしまうことはあります。

そのため、腰に痛みや違和感を感じたら無理に続けずスクワットを一旦中止して痛みに向き合いましょう。

前述の通り、腰痛のうち85%は原因不明とされているので、素人には痛みの原因が判断しにくいのですが、痛みがいつ(日常的か筋トレ時か)、どのような時に出るのかチェックして対処していく必要があります。

ここからは腰痛が起こるケースごとの対処法をご紹介していきますが、大前提として「日常的に腰に痛みある方、特に痺れを感じる方」はスクワットを始める前に、必ず医療機関を受診し指導を仰いでください。

①筋トレ初心者の場合

スクワット中から終了直後、腰に痛みを感じる場合はスクワットで一時的に痛めてしまった可能性があるため、無理せず一旦中止してください。

【対処法

  • 初心者は筋肉痛になりやすいため、まず2〜3日で痛みがひくか様子を見る。
  • トレーニングを再開し、スクワットに慣れても再び腰痛が起こる場合はフォームが崩れている可能性があるため、鏡または動画などで自分の動きを確認して改善点を見つけフォームを修正していきます。

②体を前に曲げると痛みがある

前屈した時に痛みが起こる方は、日常的な姿勢(座り姿勢が多いなど)で猫背になっている、または体が傾き背中が丸まった状態でスクワットをしてしまっている事が考えられます。

【対処法】

  • 日頃痛みはなく、スクワットをすると痛みがある方、やや猫背気味の方はフォーム、特に背中がまっすぐになっているか注意して行なう。
  • 痛みはないが日頃から猫背が酷い方は、まず背中の筋肉をメインにした体幹トレーニングと動的ストレッチで猫背を解消してからスクワットを行なう。

実はスクワットを正しいフォーム行なうと、首から腰にかけてつながる背中の筋肉「脊柱起立筋群」が鍛えられ姿勢の改善につながります。

これは、スクワット中に背中をまっすぐに保ったり、バランスを取ろうとして脊柱起立筋群が刺激されるからであり、この筋肉は腰回りを支え安定させることから、正しいフォームであれば腰痛予防の効果も期待できます。

③のけぞった時に腰に痛みが出る

反り腰はお腹側の体幹が弱い女性に多く、スクワット時にも腰が反ってしまっている可能性があります。

また、腰回りからお尻の筋肉が硬い方は反り腰による姿勢の悪さから、筋肉がよけいに強張り血行が悪くなる(筋肉が血管を押し潰して血流が滞る)ことで痛みが発生します。

【対処法】

  • お腹をメインに体幹を鍛えてから、スクワット行う。
  • 柔軟性不足の方はスクワットの前に動的ストレッチをしっかり行い、体をほぐして温めてから取り組む。

④座った時に痛みがある

座った時に痛みが出るケースの原因は複雑です。

スクワットフォームの崩れや姿勢の悪さにより、骨盤の傾きや歪みが発生し筋肉と関節をつなぐ靭帯や筋膜が引っ張られ痛む。

他にも、加齢により仙骨や腰椎(背骨の中で骨盤に近い位置にある)、椎間板といった組織が変形して痛むなどさまざまな原因が考えられます。

原因に検討がつかないまま、自己流ストレッチや筋トレ行うと悪化するかもしれませんので、医療機関で見てもらいましょう。

【スクワットの準備】ストレッチと体幹トレーニング

スクワットを安全に行うために意識してほしいのが、準備運動や体のベース作りです。

そこで有効となる、動的ストレッチや体幹トレーニングについて解説します。

スクワット前にしてほしい準備運動:動的ストレッチ

柔軟性の良し悪しに関わらず、スクワット(筋トレ)の前に行なって欲しいのが「動的ストレッチ」です。

ダイナミックストレッチともいい、体をしっかり動かすことで、筋肉を温めて関節の可動域を高める効果があります。

また、体をアクティブに動かすことで視神経の働きが活発になり、怪我の防止にも役立つとされています。

出典:タロー・トレーニング強化書

ストレッチについて気をつけてほしいのが「静的ストレッチを筋トレ前に行わない」ことです。

静的ストレッチとは、筋肉を20〜30秒以上時間をかけてゆっくり伸ばす動きであり、ストレッチといえばこちらの方が馴染みがあるかもしれません。

筋トレ後の静的ストレッチは疲労の回復やクールダウンなど体のケアに役立ちますが、筋トレ前に行うと「筋肉量やトレーニングのパフォーマンス」を下げてしまう可能性もあるので、順番を間違えずに行うようにしましょう。

体幹を鍛えてスクワットができる体のベースを作る:ドローイング

前述した通り、体幹不足でも正しいフォームのスクワットができませんので、姿勢が安定しない方は体幹トレーニングも行いましょう。

おすすめは、時間も場所も取らずいつでもすぐできるドローイング。

普段何気なくしている呼吸ですが、お腹に力をいれて行うことで腹横筋(体の内側にあるインナーマッスルの1つ)を鍛えることができます。

出典:CALISLIFE自重トレ

【ドローイングのやり方(仰向け)】

  1. 仰向けに横になり、足を腰幅に開き膝を立てる
  2. お腹を膨らませる意識で鼻から息を吸う
  3. 口から息を吐きながら、お腹を凹ませる
  4. 最大限凹ませた状態で4秒キープ
  5. 2〜4を繰り返す。

目安回数は1セット10回を2〜3セット。

膝を立てた時に足の位置が遠いと腰が反りやすいため、足は体に近い位置に置いてください。

また、息を吐く時に下腹に力を入れる意識をもつと、うまくお腹を凹ませて腹横筋を収縮させることができます。

ドローイングは立って行うことも可能であり、立ち姿勢の時は背筋をまっすぐ伸ばして、仰向けのやり方3・4と同じ呼吸・回数を行います。

どちらの方法も効果は同じですが、背筋を伸ばすのがキツく感じる方は仰向けから始めてみましょう。

なお、体幹トレーニングには様々な種類があります。以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

正しくスクワットを行う方法とポイント

スクワットの基本的なやり方として「膝を足より前にださない、お尻を突き出す」この2点が知られています。

しかし、間違った解釈で実践すると逆に腰を痛めるリスクがあるので注意が必要です。

そこで、ここからは正しいスクワットのフォームと体が硬い人向けのスクワットを紹介します。

正しいスクワットのフォーム・やり方

出典:Konami Sports Club

【スクワットのやり方】

  1. 肩幅より少し広め(お尻が入るぐらい)に足を開く
  2. つま先を少し外側に向け、膝も同じ向きに向ける
  3. 膝を少し曲げて立つ
  4. お尻を少し後ろに引いて、息を吸いながらしゃがむ
  5. 膝は90度を目安に曲げ、息を吐きながら体を上げる

目安回数は1セット10回を3セットです。

反り腰や猫背にならないよう、お腹に力を入れて自然な立ち姿勢を意識するのがポイント。

また、つま先を少し外側に向けることでまっすぐしゃがんだ時に足と膝の角度が垂直にならず、膝が足より前に出ずにしゃがむことができます。

スクワットのより具体的なやり方やアレンジは、以下の記事からご確認いただけます。

【腰や膝が不安】体が硬い人向けのスクワット

前述した動的ストレッチで、スクワットに必要な関節の可動域や筋肉の柔軟性を徐々に上げていくことができますが、時間がかかります。

最適な状態で行う方が良いのは確かですが、体が硬い人は改善するまでスクワットができないのか?というと、そうではありません。

膝や股関節が硬い・筋力が弱い方はハーフスクワットから始めるのがおすすめです。

ハーフスクワットのやり方】

  1. 上記スクワットの1〜3と同じ姿勢を取る
  2. 息を吸いながら浅くしゃがむ
  3. 膝は30〜40度を目安に、息を吐きながら体を上げる

ハーフスクワットもスクワットと同じやり方です。

浅くしゃがむためハムストリングスや大臀筋への効果は期待できませんが、大腿四頭筋の引き締めに効果があり、関節への負担も少なく安心して行えます。

もし膝に痛みがある方は、以下の記事でスクワットの代わりとなるトレーニングを紹介しているので参考にしてください。

スクワットの目的によってはパーソナルジムがおすすめ

この記事では、腰痛を起こさずに下半身を鍛えるスクワットの正しいやり方を詳しく解説していきました。

スクワットは下半身の多くの筋肉をまとめて鍛えられ、正しく行えば腰痛予防になる、手軽にできるなどメリットが多い点が魅力です。

また、スクワットができるようになることは、自然と体幹や柔軟性の向上に繋がります。

ただし、自重トレーニングのため負荷を調整することができず、慣れてくると効果が感じにくくなり、ダイエットや筋肥大など目的によっては物足りないかもしれません。

特に腰痛防止または改善目的の場合はフォームの客観的な指導が望ましいため、個別指導のパーソナルジムをおすすめします。

当ジムELEMENTでは1人1人の状態や目的に合わせたプログラムを指導しており、1回30分の初回体験も随時行なっておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。

この記事を書いた人

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