長時間勤務によるメンタルヘルスの悪化や、パンデミック拡大に伴う就業スタイルの変化をきっかけに、従業員の健康管理を本気で考える企業が急増しています。
こうした状況下で、国策として推進される「健康経営」が注目されています。健康経営は、労働人口の減少や少子高齢化が進む日本において、働き方改革にも直結する重要な経営戦略の一つです。
一方で、「健康経営の導入を検討しているが、何から着手すべきかわからない」「費用対効果が不明瞭で、そこまで予算を割けない」という経営者やプロジェクト担当者も多いのではないでしょうか?
本記事では、健康経営への投資で得られるリターンや、具体的な導入事例や取り組み方を説明していきます。
今更聞けない!全企業が取り組むべき「健康経営」とは?
経済産業省が推進する健康経営は「従業員の健康問題を経営的視点で考えて、戦略的に取り組む経営手法」と定義されます。
健康経営の概念は「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という米国の経営思想に基づき、現代経営の礎と言えるでしょう。
そもそも健康経営が広まった背景には、アメリカ社会に深刻な影響を及ぼした過労死やメンタル問題などの労働災害があります。
その予防線として、1990年以降に従業員の業務上のケガや病気の予防、労働環境や生産性向上を目的とする健康増進プログラムが発達し、2009年頃から日本企業にも浸透し始めました。
現代日本には団塊世代の退職や人手不足、長時間労働といった課題が山積みです。今いる従業員を労って快適な職場環境を目指し、将来の企業価値を高める手段として健康経営は有効な取り組みとなります。
このした背景を踏まえて、経済産業省は企業の健康経営への取り組みを評価するにあたり「見える化」した指標として、以下の顕彰制度を創設しました。
健康経営優良法人認定制度
健康経営優良法人認定制度とは、健康経営に取り組む優良な法人を日本健康会議が認定する制度です。中小企業法人部門と大企業法人部門の2部門が設置されており、2021年度の認定数は以下の通りです。
- 中小企業法人部門:7934法人(上位法人はブライト500の冠を付加)
- 大企業法人部門:1801法人(上位法人はホワイト500の冠を付加)
後述する健康経営銘柄の選出対象は上場企業のみですが、本制度は非上場企業も対象に含まれます。
健康経営優良法人に認定されると、求職者や従業員、取引先や金融機関などへ企業のイメージアップに繋がるメリットが生まれます。
健康経営銘柄
健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む、上場中の33業種の中から優れた企業を原則1業種1社以上選定する制度です。
「企業資産である従業員を大事にしているか」という指標も、投資家の投資判断基準の一つ。
投資家からの評価を得るためにも、健康経営が企業の継続性に資する体系的な取り組みである旨をわかりやすいストーリーで情報発信できるかが重要です。
健康経営に注目が集まる背景
長時間労働による過労死や心身の疾患、従業員の高齢化による企業の医療負担の増大など、従業員の健康被害は1980年代以降日本の重要な社会問題と認識されるようになりました。
しかし、今なお山積された経営課題に直面しており、解決の糸口を見出しています。
こうした背景の中、働き手の従業員と雇用主である企業の双方がWin-Winの関係を築ける”攻めの課題解決策”として白羽の矢が立ったのが健康経営でした。
先述の通り、健康経営の概念は2010年頃から日本の大企業を中心に浸透し、現在では提供するメニューも多様化しています。
健康経営への投資で得られる5つのリターン
従来、従業員の医療費や福利厚生にかかる出費は「コスト」としての側面が色濃くありました。
一方、健康経営では「戦略的な将来への投資」と位置づけ、従業員の生産性改善や将来の企業価値を高める人的資本への「投資」と捉え直し、全体を最適化する取り組みとし導入される特徴があります。
ここからは、健康経営への投資で得られる5つの具体的効果を紹介しましょう。
①生産パフォーマンス向上
健康経営への投資と生産性向上には、密接な相関関係があります。
以下は、メンタルヘルス休職者比率が上昇した企業は、売上高利益率の落ち込みが大きいとことを示す厚生労働省の研究報告データです。
また同報告書内には、米国企業のジョンソン&ジョンソングループが健康リスクの高い従業員へ運動プログラムや禁煙支援などを行った所、健康投資1ドルに対し3倍もの投資リターンが得られたとの報告もあります。
後述しますが、具体的な投資効果には、生産性の改善、医療費の削減、企業イメージアップによるリクルート効果やブランド価値向上などが含まれます。
②企業収益の増加・業績アップ
先にお話したように、健康経営への取り組み姿勢は株価にも反映されます。
以下は、東京証券取引所と経済産業省が共同作成した、健康経営銘柄で構成される株価指数とTOPIXの推移をグラフ化したもの。健康経営銘柄がTOPIXを上回っていることがうかがえます。
健康経営に代表されるサスティナブル経営へ取り組みを通じて、見えない企業価値の可視化や定量化でESG投資家にアピールできるチャンスが生まれます。
③リスクマネージメント
体調不良による突然の入院やケガは、誰にでも起こるリスクです。
緊張や負荷が大きい職場環境であるほど、従業員にかかるストレスレベルも増大し、放置すると健康問題は深刻化する結果に…。
健康不安を抱える従業員が多い企業は、健康経営で病気を未然に防ぐ健康プログラムを提供するなど、会社の主体的な働きかけでトラブルの火種を最小限に留めることが重要です。
④従業員の離職率低下
持病やメンタルヘルスの悪化による従業員の離職や退職の増加も、企業にとって致命傷です。
働き方改革の一環として健康経営への優先順位を高め、従業員がパフォーマンスを発揮できる環境を目指す中で、離職率低下や採用率アップによる優秀人材の確保といった効果が期待できます。
働き手にとって、健康経営は企業選びの判断基準の一つです。従業員が生き生き働ける環境を企業が提供すれば、従業員満足度の向上や求職者数アップにつながります。
採用コストをかけても成果が得られない企業は、健康経営に取り組み人員不足を解消しましょう。
⑤対外的なイメージアップ
健康経営を行うと「従業員を大事にしている会社」という好印象を外部に与えることが可能です。
前述の通り、健康経営銘柄や健康経営優良法人に認定されると、金融機関や投資家からの評価が得られやすくなります。こうした「見える化」は企業株価に寄与するので取り組む価値が大いにあるでしょう。
健康経営に取り組むべき企業の特徴
お話してきたように、健康経営は全ての企業が取り組むべき経営課題です。中でも以下の特徴を持つ企業は早急に導入検討をおすすめします。
特徴①:人材不足で労働時間が多い企業
人材不足で時間外残業や休日出勤が慢性化している企業は、体調不良や病気でも通院できず、病状が悪化するなど労災リスクが高まります。
長時間労働や時間外労働が続くと、十分に休養やリラックスができず、心身ともに疲弊する形に…。最悪の場合、離職や退職に発展しかねません。
健康経営で病気の深刻化を未然に防ぎ、組織的な健康管理を優先順位を上げて取り組むことが大切です。
特徴②:中高年層の従業員が多い企業
少子化社会において、中高年の労働力は貴重な戦力である反面、加齢による労災事故の増加や、健康状態が良くないなど働き盛りである中高年従業員ならではのリスクも想定されます。
若年層の主な死因は自殺や不慮の事故である一方、中高年層の場合は悪性新生物や心疾患が主な死因です。
健康経営で病気を未然に防ぐプログラムを提供などの対策を講じるように、企業主体で働きかけることが求められます。
特徴③:ストレスチェック結果が良くない企業
2015年12月より、一定基準を満たす従業員へ義務付けられたストレスチェックテストの結果が好ましくない企業も、さらなる健康状態の悪化を防ぐために健康経営を取り入れましょう。
企業全体だけでなく、部署間や役職別、年代別など特定の区切りでストレスが偏重していないかなど、横串で目を向けることも適切な対応や状況改善のカギとなります。
特徴④:病気による長期休業者が多い企業
体調不良やメンタルヘルスの悪化で、長期休業者が多い企業も健康経営へ積極的に取り組んでください。
軽度のうつ病でも自殺のトリガーとなる可能性があります。特に男女ともに職場で責任がのしかかる40〜50代の自殺率の多さも着目すべきポイントです。
うつ病になりにくい働きやすい環境、メンタルの変調を早期段階で発見できるプログラムを整え、高いパフォーマンスを発揮し続けられる職場を目指しましょう。
健康経営の導入ステップ
健康経営に取り組む場合、どのようなフローで導入すれば良いのでしょうか。一連の流れを簡単にまとめました。
STEP1:「健康経営宣言」の制定
健康経営に取り組むことを明言し、企業としての姿勢を社内外へ伝えます。
中小企業事業者の場合、全国健康保険協会の各都道府県支部にて「健康企業宣言」を行います。
STEP2:組織や体制づくり
健康管理を行う専門部署や担当者を割り当てて、導入環境を整えます。
完成度の高い健康管理を行う上で、経営層の賛同やメッセージ発信などのトップダウンと、現場のニーズを組み上げるボトムアップと双方向での視点が大切です。
全社で意識をすりあわせ、全従業員に参加してもらえる理想的な社内制度を目指しましょう。
STEP3:課題の確認・目標設定
ストレスチェックテストや健康診断結果を活用し、自社の健康課題を洗い出しましょう。
部署別や役職単位で集計・分析し、高ストレスを抱えるグループがあれば、職場環境の改善目標を立ててください。
該当部署の業務内容や残業時間など総合的に評価し、高ストレス職場には関連部署を巻き込んだ改善策を検討します。場合によっては、部署別・職階別など特別プランの導入や目標設定が有効な場合もあるでしょう。
STEP4:計画実行と効果測定
テスト結果が良好な部署の取り組み事例や工夫点、働きやすさが改善された事例があれば、他部署へ共有して次年度以降の効果的な取り組みにつなげます。
改善策の話し合いや改善案を職場に浸透させるプロセスなど、数値面に限定されない取り組み過程も評価対象に含めましょう。
実施後の振り返りで、成功事例や見つかった課題点などを整理し、PDCAサイクルで継続的な職場環境改善につなげると有用です。
健康経営の導入事例|自社に活かすヒント
健康経営の「見える化」は画一的でなく、取り組み事例も様々。職場環境の改善や社外的な評価を高めた実例を紹介します。好事例の中から、自社の健康経営に活かせるヒントやアイデアが見えてくるかもしれませんよ。
①ミズノ株式会社|週1回スポーツジムでの集団レッスン
ミズノの取り組みの特徴
- 就業開始前にオリジナルの健康体操を実施
- 駅伝やソフトボール大会など社内スポーツ大会の実施
- 社外スポーツイベント参加への奨励
- 一部の社員食堂で特保やヘルシーメニューの提供
ミズノ株式会社は、スポーツ用品の製造や販売を主に手掛ける企業です。
2018年から3年連続、従業員へのスポーツ実施の奨励を中心した取り組みで、健康経営優良法人(大規模法人部門・ホワイト500)認定されています。
社員のワークライフバランス実現に向けた健康経営に基づき、生活習慣病予備軍の比率低減、重大疾病の早期発見、メンタルヘルス休業者の激減、喫煙比率の低減と4つの課題に対して目標値を設定し職場環境改善に取り組んでいます。(参照リンク:健康増進の取り組み)
健康経営の一環として、毎週火曜日のノー残業日に業務時間を短縮しスポーツジムへ通うなど健康増進活動に取り組んでいます。
②株式会社フォーサイト|業務時間中に週1回・1時間の加圧トレーニング
フォーサイトの取り組みの特徴
- 週に1回1時間、会社徒歩圏内のジムでマンツーマン形式の加圧トレーニングを実施
- 身体面の成果を実感したので、週1ペースでヨガ教室をオフィス開催(希望者のみ参加)
- 今後はマインドフルネスなど複数のプログラムを段階的に導入予定
株式会社フォーサイトは、通信教育事業や書籍出版を展開する企業です。
創業当初、健康診断結果が思わしくない社員が多数在籍していた背景があり、会社負担でジム通いを推奨するも続かない社員が続出する結果に。
2013年頃より、業務時間内に週1回・1時間ほど専属トレーナーによる加圧トレーニングに全従業員が参加する形式に方向転換した所、日常業務の効率化や健康不良に悩まされる社員が激減。
社内コミュニケーションの活性化など目に見える形で健康経営への投資効果を実感し、ワークライフバランス確立につなげています。
当ジムELEMENTが提案する健康経営
東京を中心に40拠点を展開するパーソナルジムELEMENTでは、健康経営を応援すべく法人向けプランを用意しております。
主な特徴は以下の通りです。
- 業界最安値レベルの法人プランご提供
- 本質的な働き方改善をサポート
- ジム費用の経費化で節約効果
- 目的別に選べる4つのトレーニングメニュー
1点ずつ、詳しくご紹介します。
①業界最安値レベルの法人プランご提供
ELEMENTの法人契約プランは、全店舗※が利用し放題です。
営業時間は毎日10:00〜22:00、40店舗以上の駅近ジムに通い放題と通いやすいシステムも大変ご好評です。
トレーニングウェアや靴、ドリンクなど、必要な物はすべて無料貸し出しなので手ぶら通いも可能。一部店舗にはシャワーやパウダールームが完備され、トレーニング後に汗を流してご帰宅いただけます。
仕事帰りや外出時でも気軽にお立ち寄りいただき、無理のない健康作りに役立ててください。
②本質的な働き方改善をサポート
パーソナルジムELEMENTのご利用で、本質的な働き方改革に取り組めます。
法人プラン一例は以下の通りです。
- 週1回・ノー残業日にセミパーソナルトレーニング開催
- 社内向け健康プログラムのご提案
- 女性トレーナーによる女性専用レッスン
「従業員の運動不足を解消して健康促進に繋げたい」「運動プログラムで社内コミュニケーションの活性化を図りたい」など各企業様の目的に合わせた最適プランを提案致します。
③ジム費用の経費化で節税効果
パーソナルジムの費用は、経費計上して節税できます。
平均的なジムの月額費用を9,000円とした場合、年間10.8万円に対して社会保険料が発生します。一方、ジム代を福利厚生として導入すると、その分を経費計上でき節税対策になります。
以下の3条件を満たしすと、スポーツジム費用を経費化し、福利厚生費として会計処理できます。
- 従業員全員が利用できる状態
- 法人契約を結ぶ
- 利用記録を作成し、運用状況を明確にする
当ジムでもお得な法人向けプランを用意しています。ご興味のある担当者様、経営者の方はお気軽にお問い合わせください。
④目的別に選べる4つのトレーニングメニュー
ELEMENTでは、1回30分の目的に合った4つのパーソナルトレーニングプランを用意。
本格的に肉体改造したい方から緩やかに身体の機能向上を目指したい方まで、多様なご希望に沿う本格プランを取り揃えております。
【ELEMENTでご提供する4つのプラン】
- ワークアウト/筋力アップ:フリーウエイトを用いたハードトレーニング
- シェイプアップ/身体の引き締め:軽重量や自重中心のトレーニング
- 身体の機能改善:動きの悪さや可動域を改善するメニュー
- マッサージとストレッチによるボディケア:疲労回復目的
若い世代と中高年層では推奨される運動は異なります。当ジムでは体力レベルや筋肉量に合うトレーニング方法や食事管理を提供しており、どの世代でも確実に効果を出せるプログラムをご利用いただけますのでご安心ください。
ジム通いの経験がない方や継続力に不安のある方でも、プロのトレーナーがトレーニングを丁寧に指導。従業員の皆様の満足度と健康増進を、全力で応援サポート致します。
健康経営=将来への投資!自社にとってベストな選択を
健康経営は、利益創出やコストカット、リスク回避を同時達成できる経営視点で非常に合理的な取り組みです。
今後採用に遅れを取った場合、経営リスクや生産性の低下など取り組まないことによる損失も懸念されます。
本記事をご参考に、ワークライフバランスの推進、健康経営への第一歩を踏み出してください。
当ジムELEMENTでも、多くの企業様と従業員の幸福度を高めるお手伝いをさせて頂きたく、他社よりお得な法人会員プランを用意して健康経営をサポートしております。
- 本格的な運用前にトライアル導入してみたい
- 従業員の健康意識を向上させたい
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などのお問い合わせや無料相談は随時受付中です。まずは下記のボタンより、お気軽にお問い合わせ下さい。