肩、腕、胸など様々なパーツがある上半身を集中的に鍛えられる筋トレ「ディップス」をご存知ですか?
自重トレーニングのディップスは、安全性が高く動きもシンプルなため、腕立て伏せがある程度できる方なら取り組みやすい筋トレです。
また、すでに実践している方でも、
- 大胸筋への効果が実感できない
- 肩にばかり負担がかかる
など、思った通りに鍛えられずお悩みかもしれません。
そこでこの記事では、ディップスで鍛えられる部位、正しいトレーニング方法とコツ、注意点などを詳しく解説していきます。
上半身を満遍なく鍛えることで、見栄えのする上半身が実現できます。
また、女性ならバストラインのキープ、美しいデコルテを作れるので、ぜひディップスにチャレンジしてみてください。
【上半身のスクワット】ディップスの特徴と2つのメリット
上半身のスクワットと呼ばれるディップスは、狙って鍛えるのが難しい大胸筋下部のほか、上腕三頭筋や三角筋など上半身を広く効果的に鍛えられる種目です。
負荷は自重のためディップススタンドなど専用器具がなくても、体を支える安定した椅子や台を使って自宅でトレーニングができる手軽さも特徴です。
また、ディップスを正しく行うことで狙った筋肉への効果以外にも、体に良い2つのメリットがあります。
【メリット1】体幹が鍛えられる
ディップスのトレーニング方法は単純ですが、両腕で体を持ち上げ支える基本姿勢を保つためには、体幹(体を安定させる軸)の強さが必要です。
体幹が弱いと体のバランスが取れずフォームが崩れてしまいますが、ディップスの正確なフォームを維持できるようになると体の筋肉のバランスも整い、体幹UPにつながります。
【メリット2】基礎代謝が上がる
基礎代謝は「生きていくために自然に消費するエネルギー」です。
基礎代謝が上がっていくことで細胞の生まれ変わり(新陳代謝)が活発になり、ダイエット・美容・健康など体に良い効果をもたらしてくれます。
筋肉量が増えることで基礎代謝も上がっていくため、「大きな筋肉」を鍛える方法が効率的に基礎代謝を上げるポイント。
大胸筋や上腕三頭筋、三角筋は体の中では筋肉量が多い部位のため、大きな筋肉をまとめて鍛えられるディップスを行うことで、基礎代謝UPが期待できます。
ディップスで鍛えられる3つの部位
ここからは、ディップスで狙って鍛えることができる大胸筋・上腕三頭筋・三角筋の3つの筋肉を詳しく解説していきます。
1つの筋肉でも複数のパーツが組み合わせって構成されていることがほとんどです。
構造や役割を知ることで怪我を防止しつつパーツを意識したトレーニングができますので、ぜひ覚えてください。
【ディップスが効く筋肉1】上腕三頭筋
上腕三頭筋は肩から肘までの腕の裏側部分の筋肉であり、長頭・内側頭・外側頭の3つの筋で構成されています。
各パーツの主な役割
- 長頭:肘から先を曲げる動きおよび、肩を内側にねじる(内転)、体より腕を後ろに引く(伸展)
- 内側頭と外側頭:肘を曲げる動作(伸展)
まとめると肘を使って押す動きや、体の後ろへ腕を引く動きで使われる筋肉となります。
上腕三頭筋は上半身で2番目に大きい筋肉(全身でも4番目)のため、腕の太さをだし綺麗な隆起のある腕を作りたい方や効率的な基礎代謝UPを目指す方が鍛えるのに最適な部位と言えるでしょう。
【ディップスが効く筋肉2】大胸筋
大胸筋は体の中心から肩・脇・腹筋に向かって筋肉がつながり、上部・中部・下部の3つのパーツで構成され、体の中心に近い箇所の筋肉は内側と呼ばれています。
各パーツの主な役割
- 上部:腕を肩より上に持ち上げる(外転)
- 中部:腕を水平に広げる
- 下部:腕を肩より下におろす(内転)
- 3パーツの内側:腕を体の内側に寄せる(手を合わせる動作)
体に占める筋肉量は上半身で3番目(全身では6番目)の大きな筋肉であり、筋トレ効果が見た目で実感しやすく上半身を代表する筋肉として人気です。
大胸筋は鍛えやすい部位ですが、筋肉の密度が少ない内側や刺激を与えにくい下部をバランスのよく整えるなら、意図的に狙ったトレーニングをしましょう。
【ディップスで効く筋肉3】三角筋
三頭筋は意外かもしれませんが上半身で一番筋肉量が多い部位です。
肩の関節全体を包み込むように覆っている筋肉であり、前部・中部・後部の3パーツに分かれています。
各パーツの主な役割
- 前部:前方に腕をあげていく動き
- 中部:水平(真横)に腕をあげていく動き
- 後部:後方に腕をあげていく動き
ディップスを含め、さまざまな筋トレで刺激の入りやすい三頭筋前部とくらべ、中部と後部は鍛えるのが難しい部位になります。
また、肩の関節と筋肉はトレーニングで痛めやすく、特に怪我に注意するべき筋肉なので無理をしすぎないことが肝心です。
【怪我を防ぐ】ディップスの正しいフォームと準備
ディップスは腕で上半身を支えるため、肩や肘に負担がかかりやすいトレーニングであり、正確なフォームを保つことがケガをしないポイントです。
また、負荷の細かい調整が聞かない種目のため、筋トレ前の準備およびケアもしっかり行いましょう。
ここからは、ディップスの基本のフォーム、ウォーミングアップについてご紹介していきます。
ディップスの基本フォーム
- 平行棒やディップススタンド、椅子(2脚)を用意する
- 両手でバーを握り、体を浮かせる
- 足を揃えて膝を90度くらいまで曲げる
- 上半身を少しだけ前に傾ける(セットポジション)
- 腕と肘(地面に対して垂直)を固定して、体をゆっくり下げる
- 体を下げ切った後は、一旦停止
- 素早くセットポジションに戻り、4〜7を繰り返す
体が持ち上がらない、持ち上げた体がぐらぐら安定しないなど、セットポジションがとれない場合、腕の筋力不足と体感の弱さが原因となります。
この場合はパートナーからの補助や補助器具を使い、セットポジションの維持を目指すところから始めてください。
【肩や関節を痛めない1】ウォーミングアップ!
トレーニング前のウォーミングアップには「トレーニング効果をあげる」「怪我の防止する」という2つの効果があります。
ウォーミングアップで体を温めておくと代謝がおこりやすくなり、トレーニング効果を高めることができます。
また、リズミカルな動きやその反動で関節や筋肉をアクティブに動かす動的ストレッチは、体を十分にほぐし神経系の働きを活性化させるため、怪我の防止に役立ちます。
とくにディップスは自重のため重さの調整がきかないので、軽い負荷で体を慣らしながらトレーニングを行うことができません。
1日のトレーニングの中でディップスを最初に行う場合、肩や関節にいきなり負荷をかけないために特に入念なウォーミングアップを心がけてください。
【肩や関節を痛めない2】筋トレ後のケア
トレーニング後の静的ストレッチには、筋トレで硬くなった筋肉の緊張をゆるめ、素早く疲労回復をうながす効果があります。
回復が遅れるとその分筋肉の成長機会が失われて、筋トレの効果が無駄になってしまうのでトレーニング後のケアも欠かさず行いましょう。
肩のストレッチ
- 上を前に伸ばし、反対の腕で片腕を抱えて体に寄せる
- 20秒キープ
- 手を入れ替えて反対の腕も行う
胸のストレッチ
- 座った姿勢で、後ろで手を組む
- 肩甲骨をしっかり寄せて、胸をはる
- 組んだ腕の位置を上下させ、効果を調整する
- 20秒行う
首のストレッチ
- あぐらで座り片手を床につける
- 鎖骨周辺を反対側の手で押さえる
- 押さえた方の手と逆方向に首を傾ける(20秒)
- 反対側も行う
伸び感を感じられている程度が最適であり、痛みを感じるほど無理に伸ばしたり傾けるのは逆効果のため、伸ばしすぎに気をつけてください。
ディップスを効果的に行う3つのポイント
上半身をまとめて鍛えられるメリットの多いディップスですが、その分「どこの筋肉に効かせるのか」を意識して行うことが大切です。
1度のトレーニングで動かす筋肉が多いため、意識的に行わなければ狙ってない部位に刺激が入ることで怪我のリスクがあがり、目指すスタイルもつくれません。
ここからは、ディップスで狙い通り効果を出すために実践してほしい3つのポイントをご紹介します。
【ポイント1】正確なフォームのマスターが最優先
ここまでご紹介してきた通り、ディップスで安全にトレーニング効果を出すには、正確なフォームを身につけることが最優先です。
ディップスの注意点
- 上半身の角度をキープする
- 反動を使わないよう、足を動かさない
- 肘は90度近くまでしっかり曲げる(90度以上は曲げない)
このように、上半身の筋肉を使えるようにフォームを常に保つ必要があります。
体を持ち上げた時に自然に取りやすい姿勢だけでトレーニングをしていると、筋肉への刺激が偏ります。
基本姿勢は共通しているので、パーツごとの正確なフォームを覚えてから回数を増やしていきましょう。
【ポイント2】適切なトレーニング頻度と回数
筋肉は刺激によるダメージを回復する時に発達しますが、回復には48〜72時間以上の休息が必要であり、毎日トレーニングをすると回復を妨害して筋肉が成長しなくなります。
筋トレの効果をだすためにはトレーニング後に最短で3日は間隔をあける必要なため、トレーニング頻度は週に1〜2回で十分です。
また、1回のトレーニングで行うディップスの回数は20〜30回。
1セットを10回ごとに数分の休憩をとりながら、目標回数まで2・3セット行いましょう。
ディップスに慣れてより回数ができる方は、加重ベルト(重りをつけたベルトを腰に巻くもの)で負荷を足してください。
同じ負荷で回数を増やすよりも、回数を増やさずに負荷を足すほうが筋肉をより成長させます。
【ポイント3】肩や関節への違和感を見逃さない
上半身トレーニングとしてメリットの多いディップスですが、デメリットは肩関節と肘を痛めやすいことです。
特に筋力が弱い方や、正確なフォームが維持できないうちは、痛める可能性が高くなるので慎重に行うよう心がけてください。
具体的には、筋肉ではなく肘や肩関節に痛みや違和感を感じた時は、無視してトレーニングを続けるのは危険です。
怪我につながるので、原因がわかるまでトレーニングは控えてください。
トレーニング後の筋肉痛については、はじめは起こりやすいので筋肉痛がひいてからトレーニングを再開するとよいでしょう。
ディップスを自宅で行う方法
ディップスは特別な道具がなくても自重で負荷がかけられるので、自宅で挑戦できる取り組みやすい筋トレです。
自宅でディップスを行うには、体を安定して支えられる椅子や台を使用します。
ここでは椅子を2脚使った方法をご紹介していきますが、トレーニング前に2脚の椅子の高さが揃っているか、ぐらつきがないかを必ず確認してください。
- 自分の左右に腰幅+拳一つ分の幅をあけて椅子を置く
- 指を外側に向けて椅子に手をつく
- 体を持ち上げ、足が床につかないよう曲げる
- 体を前に傾ける(セットポジション)
- 肘を90度までまげ、体を下げる
- 素早くセットポジションに戻る
- 4〜6を繰り返す
この方法は大胸筋下部がメインターゲットですが、バーを握るのと違い手のひらで体を支えているため、倒れないよう体を前に傾けすぎないことがポイントです。
また、前への傾きが強くなると、大胸筋下部への負荷が逃げて肩への負担が強くなるので注意しましょう。
【部位別】ジムで行うディップスのやり方
ジムでディップス専用のマシンを使用すれば、ディップスでも負荷を調整しながらトレーニングすることができます。
また、自宅トレーニングでは難しい、パーツを狙ったトレーニングも行いやすいでしょう。
ここからご紹介する各パーツを狙って鍛える方法は、微妙なフォームの変化がポイントになるので、正しいフォームが身につくまでは負荷を調整しながらトレーニングをしてみてください。
上腕三頭筋に効く筋トレ
まず、ディップスで上腕三頭筋を狙って鍛える方法をご紹介していきます。
- バーを両手でにぎり、体を持ち上げる
- 体をごく浅く(垂直に近い)前に傾ける(セットポジション)
- 肘を90度以下に曲げて、体を下げる
- 元の位置に体を戻す
- 2〜4を繰り返す
ポイントは体と肘の角度です。
セットポジションで体の傾きが深いと大胸筋に刺激が逃げ、完全に垂直だと上腕三頭筋を鍛える以上に、肩関節に負担がかかるので危険です。
また、体を下げるときに肘を曲げすぎると痛めやすいので、肘は90度以下の角度を守り、それより深く曲げないようにしましょう。
大胸筋下部に効く筋トレ
次に、一般的に鍛えにくい部位としてしられる、大胸筋下部をディップスで鍛える方法をご紹介します。
- 肩幅よりやや広めにディップスバーを握る
- 体を持ち上げ、足は膝から下を曲げる
- 体を大きく前に傾ける(セットポジション)
- 姿勢を崩さず、肘を曲げて体の上下(上げおろし)を繰り返す
大胸筋下部に刺激を与えるためには、体の傾きが大切です。
体を下ろした時に大胸筋への負荷が弱い、感じられない場合は体の傾きが不足しています。
また、肩が上がった(すくめた)姿勢で行うことも負荷が逃げる原因になるため、肩はしっかり下げて行いましょう。
三角筋に効く筋トレ
三角筋のトレーニングについては、上腕三頭筋のトレーニング方法とほぼ同じであり、このトレーニングも
体の角度で刺激を与えるパーツを変化させています。
角度については大胸筋より浅く、上腕三頭筋よりは前傾に倒す姿勢になります。
上半身の傾きが微妙なので、胸や腕ではなく肩(三頭筋)への刺激が入っているか確認しながら体制を微調整しつつトレーニングをしてください。
ディップスで見栄えのする上半身を実現しよう!
当記事では、ディップスを正しく行い上半身を効率的に鍛える方法をご紹介しました。
トレーニングに100%の安全はありませんが、ディップスは自重トレーニング+立った姿勢で行うことから事故のリスクが少なく、メリットが多い上半身トレーニングと言えます。
肩関節や肘に負担がかかる点がデメリットですが、ウォーミングアップ・正確なトレーニング・アフターケアなど、準備と注意点を守って行えば怪我のリスクは最小限に押えられるでしょう。
あなたが厚みやハリのある胸、立体的な腕、がっしりした肩幅などを目指すなら、効果が高いディップスをおすすめします。
ぜひ、ディップスで見栄えのある上半身を実現してください!
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ディップスは上半身に効果が高く、自宅でもできるシンプルさで人気のトレーニングですが、運動初心者や腕立て伏せができない方には、難易度が高いと言えます。
まず、フォームを安定させる(バランスと取る)ためには、ある程度全身を鍛えて腕立て伏せができるようになってから始めると良いでしょう。
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