あなたが経営者や会社全体のことを考える立場であれば、福利厚生の充実は従業員に選ばれるために大切な要素であるとお考えだと思います。
福利厚生には休暇や自己啓発、レジャーなど様々な種類がありますが、中でも従業員の不調を改善する「マッサージ」の導入は、国が健康経営(企業が従業員の健康管理を積極的にサポートすること)を推進していることもあり注目されています。
体のケアは肉体的疲労の解消や気分をリフレッシュさせるほか、モチベーションや生産性UPも期待できるため会社と従業員の双方が満足しやすく、この点も導入が進んでいるポイントと言えるでしょう。
この記事では、マッサージを福利厚生にできるのか、運用するタイプ、導入のメリットほかデメリットなどもご紹介していきます。
従業員が利用しやすく形骸化しない福利厚生となるよう、参考にしていただけたら幸いです。
マッサージや整体・ボディケアを福利厚生にできるのか?
結論からお伝えすると、条件を踏まえて運用すればマッサージやボディケアを福利厚生費として計上できます。
【経費計上のための4条件】
- 全ての従業員が利用できる制度にする
- 法人契約する
- 利用規定を作り利用記録を残す(簡素なものでOK)
- 高額すぎない常識的な金額である
福利厚生とは「企業が従業員に給与以外に提供するサービス」であり「全ての従業員が対象」と定められているため、利用できる対象者を一部の社員や役職の方に限定する(条件1を守らない)と福利厚生として成り立ちません。
また、以下のようなケースでは、福利厚生費として認められずに課税対象になるケースもあります。
- 法人契約しているお店(マッサージ店やジムなど)であっても、従業員が医療目的で利用した場合
→個人の医療費控除として扱われる - 従業員に対する福利厚生の金額が高額過ぎる場合
→給与扱いになる
法人契約はそのままの意味ですが、会社や事業主がサービスを提供する企業と契約し費用を負担することです。(一部利用費を従業員が支払うものもあります。)
快適に福利厚生を利用してもらい税務調査にも慌てず対応できるよう、利用規定を明確にし利用記録をつけることも大切です。
従業員1人に対して月いくら福利厚生費をかけるのか、金額については基準がある一部(食事補助や通勤費)を除いて上限は決められていませんが、上記の通り福利厚生費が高過ぎると認められない可能性があります。
マッサージは福利厚生としてはやや高めなサービスになりやすいため、「1人に対して月いくら福利厚生費をかけているか」に注意して導入を検討してください。
なぜ法人契約が良いのか?
会社向けにサービスを提供してる企業の多くは「法人プランやサービス」など、法人契約専用のサービスを用意しています。
内容はさまざまですが、一般的には「個人利用よりも価格がお得になる」ことが多いです。
価格以外にも自社のニーズに対応し細かい要望に沿って内容をカスタマイズできたり、予算に合わせたプランの作成を行なっている企業もあり、個人利用よりも価格やサービスの面で優遇されているのがポイント。
つまり法人契約は、会社にとっては節税をしつつ社員に負担の少ないサービスを提供できるメリットがあるのです。
福利厚生にマッサージやボディケアを導入して得られるメリット
福利厚生にマッサージを導入することで得られるメリットは会社側・従業員側のどちらにもあります。
具体的にどんなメリットがあるのか、それぞれ確認してみましょう。
従業員側が得る3つのメリット
従業員が福利厚生でマッサージを受ける利点は以下の通りです。
- 健康を保てる
- 費用を抑えられる
- ストレス解消に役立つ
座っている時間が長く日中あまり動きがないデスク仕事中心のオフィスワーカーの場合、腰痛や肩こり、頭痛(ストレートネックなど)など様々な不調が発生しやすい反面、小さな不調のため体のケアを怠りがちです。
疲労の蓄積に気が付かず、いつのまにかパフォーマンスが落ちてしまっているかもしれません。
福利厚生でマッサージを利用する場合、費用の一部を会社が負担しているので、従業員は無料または少額な自己負担でマッサージを受けられます。
まめに体をケアして不調を改善することで健康とパフォーマンスを保つとともに、リラックス効果によるストレス解消も望めるでしょう。
詳しくは後述しますが、企業に出張するサービスや設置型の場合はマッサージのために移動する必要がなく、より気軽な利用が可能です。
会社側が得る3つのメリット
会社がマッサージを福利厚生に導入する利点は以下の通りです。
- 社員のモチベーションや生産性向上につながる
- 企業イメージが良くなる
- 福利厚生費にできる
会社側としてもマッサージを受けてもらうことで従業員の健康を維持し、モチベーションやパフォーマンスが高まり生産性向上が期待できます。
従業員の満足度が上がることは、会社への帰属意識を高め人材の定着率UPに貢献するとともに、対外的な企業イメージUPにもつながるでしょう。
もちろん、福利厚生費として正しく計上することで節税効果も見込めます。
【法人契約】タイプ別のマッサージ運用方法
マッサージを福利厚生として導入する際は、さまざまな条件を検討する必要があります。
主に、設置型・出張型・来店型の3タイプに分かれ、場所の確保や費用、従業員の利用のしやすさも考えましょう。
設置型の特徴
設置型は、企業内に専門のマッサージ室を作り、基本的に常にサービスが受けられることが特徴です。
個々違いはありますが、アロマを炊いたりゆったりしたスペースを確保するなどリラックスしたお店のような空間を備えていることもあります。
専門のマッサージ師を派遣、または直接雇用して常駐してもらうため、従業員1人1人の症状に合わせた的確な背術を手軽に受けられるのも良い点でしょう。
ただし、専門スペースと人材の確保が必要であり、初期費用を含め運用費用は比較的高額になります。
出張型の特徴
出張型は1ヶ月に2回、週1回など、定期的にマッサージ師が企業を訪れ施術を行う方法です。
都度、一時的な施術スペースの確保や準備~片付けが必要なため、それらの作業をどうするのかも決めておく必要がありますが、設置型と同じく従業員が会社内でマッサージを受けられる手軽さが利点となります。
毎回出張費用がかかるタイプが多く、費用は常駐する設置型よりも抑えられるのが一般的です。
ただし「1回の出張で1人当たり15分程度、5人までなど利用できる」など、対応時間や人数が決まっています。
限りがあるため、希望する従業員の人数や出張マッサージの対応人数を把握し、満遍なく使いやすい運用を考えると良いでしょう。
来店型の特徴
契約しているお店に従業員が訪れてマッサージをうけるのが来店型であり、企業側としては特にスペースの確保等の準備が必要なく、手間がかからないのが特徴です。
お店でサービスが受けられ、費用も3つのタイプ中ではもっとも安く抑えられるでしょう。
ただし、来店型は従業員の立場から見れば移動を求められるため、リーズナブルにマッサージが受けられるとしても休日を割いてとなると、利用しにくいかもしれません。
会社の近くや従業員の居住エリアに利用できる店舗が十分にある(会社帰りに立ち寄りやすいか)など、形ばかりの福利にならないよう従業員の立場になって「本当に利用しやすいか」かの検討が必要です。
マッサージを福利厚生に導入するデメリット
従業員の利用のしやすさと、費用の兼ね合いがマッサージを導入する際のデメリットと言えます。
設置型は従業員の満足度や利用率は高まる反面、費用の高さから企業の負担が大きくなります。
課税対象と判断されないためにも、福利厚生として妥当な金額であるかも注意しましょう。
出張型は費用面、満足度でバランスが取りやすいのですが、出張可能エリアは大都市圏をメインにした企業が多く、会社の場所によっては選択肢が少なくなる可能性もあります。
来店型のデメリットは、移動があるため従業員の利用率が下がりやすいことです。
体をケアして健康を保ってほしいとの会社側の思いが無駄にならないよう、店舗数が多く利用しやすい場所(会社の近く、通勤ルート沿線上、居住エリア付近)にある企業に限定されやすいのが難点です。
マッサージの法人契約で従業員の健康を増進しよう!
この記事ではマッサージは福利厚生で利用できるのか、法人契約のメリットや運用タイプなどをご紹介しました。
マッサージを法人契約し、定期的に体のケアや不調を改善することは会社にも従業員にも良い効果をもたらします。
福利厚生費に計上できるよう条件を満たした上で、本当に社員のためになるサービスかを検討して導入すると良いでしょう。
もし、福利厚生としてジムも検討しているのであれば、以下の記事も参考にしてください。